医療事故調査制度は医療現場だけにあらず。流山でも、組織に関係する問題。2025.04.25公開

健康・医療

4月21日のNHKクローズアップ現代+「医療事故100件の”告発”の裏に何が」を観た。

“真実を知りたい” 相次ぐ告発 身近な医療で何が? | NHK | WEB特集
【NHK】「娘の遺骨はそのまま、ここにまだ一緒にいる。今はまだ受け入れられる状態にない」去年1月、大学3年生だった娘の杏海(あみ)…

今回のクローズアップ現代+は、「医療事故調査制度」を取り上げていた。制度ができて10年。しかし、この制度は、うまく機能していないという。調査の進捗状況を遺族が知らされなかったり、病院側が「事故」と認めないために、調査が行われない場合もあるという。医療は、素人にはわからない領域があるし、医師同士であっても、きちんと資料を見なければ何も言えない。難しい。

しかし、「何が起きたのか」。家族や身近な人を亡くしたならば、その理由をきちんと説明してほしいと思うのは当然だ。それを第三者機関がきちんと判断する。それがなければ、遺族は納得できないし、時が止まってしまうだろう。その罪は重い。

名古屋大学医学部附属病院では、その取り組みの中で、ヒヤリハットをきちんと報告する環境をつくることによって、重大事故が減少しているという。

医療事故から逃げず 丁寧に向き合う事が重要

クローズアップ現代+HPより

この問題に、取り組んできた、同病院副病院長の長尾能雅氏は、このようなコメントを出している。

名古屋大学医学部附属病院 長尾能雅 副病院長
「単純にヒヤリハットなどの報告が増えたから重大事故が減ったという訳ではありません。報告行動が活性化されることで、初めてミスによる重大な死亡が明らかになり、そこに対して外部の専門家を交えた調査を行い本格的な改善につなげるということを粘り強く続けてきた結果だと考えています。
大切なことは、こうした推移を視覚化しながら医療安全の取り組みに当たっていくことです。
実際に起きていることを把握できない、つまり不透明な状況だと取り組みの成果自体がよくわからないことになります。このような積み重ねが結果的に患者の安全につながるとともに、病院への信頼につながるという意識を浸透させていくことが重要だと考えています」

この発言は、医療現場だけでなく、行政やその他の組織にも言えることなのではないだろうか。保育現場、学校現場など、行政にも大いに学ぶところがあると思う。

◯現場で起きている、本来言いたくないような事故やクレームなどをきちんと上げていくことの大切さをトップを含めた職員全員が共有できていることが必要だということ。

◯そのような情報を上げることを可能にする環境づくり。

◯「外部の専門家」をきちんと使って、客観的に事故や問題点について調査、判断することの大切さ。

◯外部の専門家からの指摘を含め、実際に起きた問題、クレーム、事故などのケースを職員が学び合う。

◯事故や問題点、クレームから浮かび上がった課題について、トップを含めた職員全体で共有し、ミスを無くしていくためのシステムづくりと実践といった努力を確実にしていくこと。

◯そのプロセスを繰り返しきちんと評価し、改善していくこと。

◯上記を通して、一人ひとりのスキルを上げると共に、職員が協力して補い合っていくシステム、環境をつくっていくこと。

こういったことを積み重ねていくことの大切さを痛感した。

私は、かねがね、市民の皆さんの意見、苦情、クレームは、まさに宝だと思っている。オープン・ミーティングやパブリック・コメントなども、まさにアイディアの宝庫だ。

もちろん問題が起きないのが一番いいのだが、事故や問題が起きた時に、それにどう向き合うのか、そこから何を学ぶのか、そして、そのような問題を無くすため(再び起こさないため)に、どういったことが必要なのか。専門家の力も借りながら、また職員同士が考え、指摘し合うことが必要だろう。

こういったことが実現できるためには、やはり腹を括って取り組む組織のトップの姿勢が重要だ。

行政も、人の人生に関わらせてもらう仕事であり、時に命にも影響する。いじめの問題、虐待の問題などを含めて、このようなプロセスが踏めるような組織づくり・環境づくりが必要だと痛感した。

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