映画「小学校〜それは小さな社会〜」観て。2025.02.11公開

子ども・子育て支援
6 Children from all over the world drawing a world map on the street. EPS 10 vector illustration with transparent cast shadows (on separate layer) of the children on the street.

映画「小学校〜それは小さな社会的〜」を観た。現在、柏の「旬報シネマシアター」で上映中。

映画のチラシには、こうある。

「6歳児は世界のどこでも同じようだけれど、

12歳になる頃には、日本の子どもは”日本人”になっている」

うーん、このコピー、なかなか怖いな。

コロナ期の小学校のドキュメンタリーなので、今の学校生活とは少し違っているとも思う。映画のHPを読んでも、柏の映画館の観客の多くも、どうもOBの先生かなと思った。

ただ、私にとっては、あまり心に残る映画ではなかった。

1年生と6年生の担任の先生の姿や、子どもたちが頑張って何かを乗り越える姿は、すごい!と思ったけれど。

1年生はベテランの先生。先生の感情が安定していて、すごい!子どもが落ち込んだ時も、優しくフォローしていて、いつまでも子どもたちに慕われる先生なんだろうなと思った。小学校低学年の子どもたちは、こういう先生が必要なのだと思う。

6年生の先生は、自分にも生徒にも厳しい。5時過ぎには電車の中にいて、誰よりも早く学校に到着。先生は、自分の殻を壊せ!と発破をかける。できなくても、諦めずに、できるように壁を乗り越えろ!と。

それに呼応して、6年生の男の子。放送部でも活躍する彼は、運動会の縄跳びを使った表現運動?で、連続二重跳びなどの技ができない。家の前で、何度も何度も汗をかきながら、練習する日々。なんだか、観ていると、こちらが苦しくなる。そして、運動会当日、彼は、完璧に連続二重跳びや変わった跳び方をやり切る。本当にいい笑顔だった。彼自身が、自分の殻を壊して、大きく成長した瞬間だったのだと思う。私も、ここは涙が出るほど感動した。

小学1年生の楽器ができなかった女の子。この子も、先生に叱られて、大粒の涙を流して、どうなるかと思ったけれど、叱った先生もきちんとフォローしてくれて、最後は、しっかり演奏をすることができた。こちらもいい笑顔!

運動会で1位になりたい!と思う男の子の姿。

そういった映画に出てくる様子は、HPの感想を読んでいても、日本の小学校の日常生活なのだろう。

「きちんとやり遂げる」ことが多くて、またそのことが高く評価されるのだろう。

入学式や卒業式など、「きちんと」やろうとすることは、きっと世界の中でも、日本や中国、韓国などの儒教に影響を受けた地域で高く評価されることなのだと思う。

1)子どもたちの表情が疲れているな、というのが印象的だった。申し訳ないけれど、子どもたちの表情が生き生きとしているなとは感じられなかった。もちろん、コロナの影響もあるのだろうが、それがとても気になった。

2)大人の世界でも「マスク警察」とかあったが、子どもたちも「あの子マスクしていない!」とか、他人の姿に敏感だった。

3)下駄箱の靴が綺麗に整頓されているのを生徒会の子かな?がチェックしている。きっと、欧米には、あり得ないだろうとは思う。部外者が見ると、「すごい!」と思うのだろうけど、大切なのだろうか?

4)壁を乗り越えるために努力すること。これは大事だと思う。そのことを伝えることも大切だし、その努力を見守ることも大切。ただ、それを全員に、一律に強いると、しんどいと思う子は出てくるだろうなとは思う。もちろん、その努力が、その子のこれからの人生にとって大きいし、もしかすると、将来を変えていくのかもしれないとも思うが。

5)自由と制限の関係について、先生たちも、とても難しく感じていた。そのバランスが、これからどうしていくのか、考えていく必要があるだろう。

6)学校の掃除。以前、アメリカ人のお子さんが、夏休みを利用して息子の学校にやってきた時に、その子が泣いて帰ってきたとお母さんから聞いた。お母さんが言うには、アメリカでは子どもたちが学校を掃除することはないので、掃除をすること自体が理解できずに混乱して掃除をしなかったら、子どもたちから怒られてしまい、泣いて帰ってきたのだという。自分達の使う校舎を自分達で掃除をして綺麗にすることは、大切だと思う。ここも欧米の人たちには、結構ショックなのではないかと思った。

7)先生たちが、それぞれの儀式のための練習で、その指導について、互いに意見を言い合っているのだが、なかなか手厳しい。保護者からも、学校の他の先生からも、子どもへの評価が、教師自身の評価になっているのだろう。これも、大切なことではあるのだけど、なかなか厳しいなと思う。ただ、こういう厳しさは、決して学校だけではないということも付け加えておきたい。

ただ、私自身が見聞きしたことで、息子の一つ上の学年の卒業式の時、先生がものすごい勢いで、子どもを怒鳴りつけている場に出くわしたことがあった。上のバルコニーから聞いていたので、先生は私の存在には気づいていなかったと思う。先生は、翌日の卒業式をクラス一丸となって、完璧にやりたかったのだと思う。わかる。息子の話だと、前日の練習の時に、その子がふざけたらしい。先生が怒るのはわかるけど、異常な起こり方だった。そういう時には、校長先生や教頭先生のようなベテランが入って、感情が昂っている先生を落ち着かせたりすべきだと思った。誰も知らんぷりだったのが、驚いた。

8)先生たちの思いを大切にしてほしい。修学旅行で、なかなか寝ないでおしゃべりをする子どもたちをどこまで指導するか。そんなシーンで、ある先生が「小学校の時に、初めて手にした彫刻刀で、家の壁を彫って、怒られたのを40にもなって、まだトラウマになっている俺」と嗤っていた。そういう、自分もまたやらかしてたよな・・・みたいな気持ちは、もっていてほしいなと思った。

9)運動会の準備。白線を書いたり、準備大変そう。でも、楽しくもあるんだよね。先生たちも、なんだかイキイキしているような。とはいえ、大変だよねと思う。現場は、諸々の準備が負担になっているんじゃないだろうか?でも、そういうことこそ、保護者にも手伝ってもらって、やったらどうかな?と思う。そういうのって、楽しいんだよね。

息子の小学校の時、運動会の片付け、「保護者の方で手伝っていただける方はぜひ!」というアナウンスがあった。みんな残ったわけではなかったけれど、残った保護者は、きびきび、声をかけ合って、先生たちも的確に指示があって、あっという間に片づいた。先生も、驚いていらっしゃった。それでいいんだと思う。もっと、保護者との協働で、学校をサポートすることに、保護者は嫌じゃないんじゃないかと思っている。

う〜ん、ダラダラを書いてきてしまった。

ぜひ、映画を観てみてください!

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