流山で津久井やまゆり園の事件から考える。2025.07.27公開

誰一人取り残さない

●9年前に起きた事件

今日は、津久井やまゆり園で19名の在園者が殺された事件から9年がたったという。亡くなった皆さん、お一人お一人のご冥福を心からお祈りしたい。ご遺族の皆さまへも、心からのお悔やみを申し上げたい。あの日、まだ眠気眼で、朝6時だっただろうか、ラジオからニュースが流れ、アナウンサーが興奮気味に津久井やまゆり園のニュースを読み上げた。「これは大変なことが起きた。」そう思って頭がシャキッとして、ニュースに聞き入り、情報収集したことを思い出す。

●植松死刑囚のこと

元津久井やまゆり園職員であった犯人は、死刑が確定している。私たちは、その後の報道で、植松死刑囚の生育歴を知ったり、事件前の大麻の使用や異常な行動を知る中で、なぜこのような事件が起きてしまったのかについて答えを見つけようとした。本人の生育歴や生育環境の中から生み出された歪みから大きな影響があったことも窺える。

●忘れてはならないこと

一方で、横浜地方裁判所での判決文が次のように指摘していることを忘れてはならない。

「被告人の重度障害者に関する考えは、被告人自身の本件施設での勤務経験を基礎とし、関心を持った世界情勢に関する話題を踏まえて生じたもの」

さまざまな調査の中で、津久井やまゆり園では、職員による入園者への虐待や不適正な行為が多々あったことが明らかになっていった。このことを絶対に忘れてはならない。津久井やまゆり園、中井やまゆり園は、神奈川県による県立直営の施設なのだ。

●NHK「鍵をあける 虐待からの再出発」を観て

2023年8月12日、NHKでの初回放送で「鍵をあける 虐待からの再出発」を観た時の感動を思い出す。中井やまゆり園では、強度行動障害の利用者たちを鍵をかけて「管理」していた。腫れ物のように、怪物を扱うかのように。そのような事実が、津久井やまゆり園の事件以降の調査によって明らかにされ、改革が行われた。鍵をかけられた独房のような場所に入れられていた強度行動障害と言われた利用者は、他の施設の経験豊富な職員が入って、職員らの接し方が変わると、強度行動障害だった「はずの」利用者さんたちの態度が大きく変わっていった。そして、みるみる穏やかさを取り戻し、他の利用者さんや職員らと、さまざまな作業を行えるようになった。その変化の2年間をとらえた秀逸なドキュメンタリーだ。

●「障害を重くするのも軽くするのも支援次第」

「障害を重くするのも軽くするのも支援次第。」この言葉は、津久井やまゆり園の取材をしてきた渡辺記者の言葉だ。彼もまた、やまゆり園から移動し、強度行動障害として隔離されてきた利用者さんが、事件後、他の施設に移り、大切にされ、今では、さまざまなリサイクルセンターなどでの作業を朝からしっかり取り組む姿を知っているからだ。県直営のやまゆり園の支援の「質」が問われるのだ。そして、その質についての行政の責任が問われるのだと思う。具体的にできることはある。私は、それを自分の公約に挙げて実現したい。

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