2025年6月7日付朝日新聞夕刊に、小さな記事が掲載されていた。
LGBTQなどの性的少数者の子どもの多くが、学校で困難やハラスメントを経験しており、その半数以上は、教職員に由来するものだった、という調査結果が明らかになったという。
調査を実施したのは、NPO法人ReBit。調査は、2025年2〜3月に、インターネットで実施。12歳〜34歳までの当事者4733名から有効回答を得られた。この数字は、かなりしっかりとした回答数だと思う。
報告によると、この1年間で、中高校生の89.5%が学校で、困難やハラスメントを経験している。そのうち、教職員からと回答した人が63.8%だった。その主なものとしては、「LGBTQでないと決めつけた言動」「不要な男女分け」「ネタ・笑いものにされた」などがあったという。
この1年間で、いじめや暴力を経験したのは、中学生で40.1%、高校生で24.0%。不登校を経験したのは、中学生で23.6%、高校生で10.2%だった。これは、文部科学省が昨年公表した全国調査と比較すると、不登校の率が3〜4倍高くなっているようだ。
また「担任の先生に安心して相談できない」と回答した中高生は94.6%。「他の先生や保護者に勝手に伝えられる不安」や、「伝えても状況は変わらない、または悪くなる」などの理由が多かったそうだ。
この調査結果は、重く受け止めなければならない。
教育現場でも、LGBTQについての理解を進めるべく、研修等は行われてきていると思うが、まだまだ十分ではないということの表れだろう。特に、相談された時の対応のしかた、何を大切にしなければならないのか、どのように生徒の気持ちを受け止めて、その存在を守るのかということは、一歩間違えれば命を失うこともあるほど深刻な問題であり、先生方がさらに真剣に学んでいく必要があると思う。
いじめ、ハラスメントがあってはならない。そして、不登校という形にならざるをえないような状況があるとすれば、それを変えなくてはならない。とにかく先生方には、一人残らず、しっかりと研修等で学んでもらい、子どもたちを守る存在になってこそ、子どもたちを傷つける存在にはなってほしくない。なってはならない!
少しでも異質なものに反応し、排除しようとする社会にダイナミズムは生まれない。いろんな人がいて、いろんな違いがあって、それぞれがあること。金子みすずは、それを「みんな違って、みんないい。」というシンプルで、力強い言葉で表現した。それをあらゆる人が自分の中に育てていかなくてはならない。
先日講演を聞いた広木克行先生は、「先生方が多様な価値の中で育ってこなかった」ことを指摘しておられた。だからこそ、しっかりと学ばなくてはならない。
また、教職員のみならず、私たち保護者も、まず自分自身の価値観を見つめ直すことが大切ではないだろうか。そして、これからの時代を生きる子どもたちに、LGBTQ、国籍、人種、障がいの有無など、自分たちが生きる場所には、いろんな人がいて、そのいろんな人たちとお互いを肯定し、力を合わせることができるような大人になれるよう、就学前から子どもたちに伝えられる存在になっていくことが大切ではないだろうか。
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