昨年12月20日、厚生労働省が、2022年度における障害者への虐待の実態について発表した。
2022年度虐待と判断されたのは、3482人(前年比522人増)。調査開始以来最多。
通報件数12754件。
家族など養護者からの虐待 2130人(前年比126人増)
障害福祉施設職員からの虐待1352人(前年比396人増)
施設での虐待のうち(複数回答)、身体虐待52.0%、心理的虐待46.4%、性的虐待13.8%、経済的虐待5.3%(調査以来最多)。
施設で虐待を受けた人の障害別(複数回答)では、知的障害72.6%、身体障害21.0%、精神障害15.8%。
施設別では、グループホームが26.4%で最多。
虐待者は、生活支援員44.4%が最多。
その理由(複数回答)としては、
教育・知識・介護技術などに関する問題73.6%、倫理観や理念の欠如58.1%、職員のストレスや感情コントロールの問題57.2%など。
グループホームでの虐待が多いことが象徴するように、とにかく「密室」は虐待の温床になる。
これを避けること、第三者の目が入る体制づくりが必要だ。
この調査の中には、精神科病院は入っていないので、滝山病院のような案件の被害者は含まれない。
通報数に比べて虐待認定数が少ないが、通報があった際に、行政側がの徹底した調査が必要だ。
私は、2023年の流山市長選挙の際に、虐待(児童、障害者、高齢者など)については、市長の直轄で取り組むことを公約に入れた。これは、市長が現場に行くということではない。
調査、対処、経過観察のプロセスの中に、市長が組み込まれることで、より柔軟な対応や広域での協力、厳しい判断が可能になる。現場だけが抱えるのではなく、より広く、対応能力を広げるためにも、市長がチームの中に入って、報告、チェック確認、改善を現場からの報告や相談を受けながら対応することが必要だと考えている。
私は、政策秘書として、児童虐待防止法の制定時から、いろいろと学ばせてもらう機会があった。非常にデリケートな対応が必要であり、現場にしっかりと裁量を渡していく必要がある。職員への研修・専門化、職員へのレスパイト、また警察との協力も極めて重要だと思う。
少し前の話ではあるが、流山市の職員の方に、虐待通報から24時間以内に直接確認することが重要と指摘したところ、その当時は流山市は48時間以内としているとのことだった。これだけ面積が小さい市なのに、随分のんびりしすぎ、というのが印象。流山市の場合は、24時間以内の被害者への直接確認は可能だし、そうしなければならない!
家族を含めた養護者や支援者の虐待は、特に高齢者など、きちんとした知識を得られていないことからくるものがあると思う。養護者や支援者への研修、またケアする人へのレスパイトが必要だ。そのための体制づくり、スタッフ・職員数、家族を支える人などを整える必要がある。
虐待は、起きうることだけれど、起きてしまうと被虐待者に大きな傷を残す。だからこそ、起きないための広報を含めた予防対策、通報体制の整備・広報、専門スタッフの養成、対応力の向上、対応者同士のチェック、警察との連携、研修体制の充実、被害者への保護とケアなど、一つ一つをしっかりと行っていく必要がある。
2023年の流山市長選挙の時に、最もやりたいことの一つとして私が掲げた「みんなのサポート・センター」は、専門スタッフを充実させながら、研修やケア、保護、レスパイトができる施設にしていきたいと考えているからだ。そのためにも、こういった問題をしっかり理解した市長が、このような体制づくりを担うことが必要だと考えている。
最後に、言うまでもないことだが、施設と行政の日頃の関係から、虐待がうやむやになっては絶対に!ダメ。虐待があった現場を処罰する以上に、どう改善していくか、共に取り組む、行政の対応力・指導力が求められる。
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