流山市・飛地山の謎!ーその1

まちづくり

流山市の通称「飛地山」をご存じだろうか?

流山市役所に隣接する広い空き地と言えば、おわかりだろう。

 

ここにマンションが建つという噂を聞いてから、一体どれくらいがたつだろう?

この土地は、2001年に売買された後、2005年、2014年、2018年、2019年と売買され、現在、株式会社流山綜合開発K(以下、流山Kとする)が購入し、所有権を得ている。いわゆる「土地転がし」されてきた物件といえよう。

2020年、流山Kは、ここにデータセンターを建設するとして、流山市に用途変更を申し出た。

これに対して流山市は、

・都市計画マスタープランでは、ここは流山駅周辺で行政機能を中心とした業務地機能の充実をはかる地域である。

・学区の小学校である流山小学校が飽和状態であるため、新たなマンションの建設は求められない。

といった理由から、飛地山を第1種住居地域から商業地域へ変更することを認めた。

しかし、まずはこの商業地域への変更手続きの不公正さを指摘したい。

用途変更の手続きの際に、流山市はウルトラDの技を発揮したのだ。

用途変更によって何が変わるかと言えば、ここに建設できるものの「高さ」だ。第1種住居地域であれば、30m以内でなければならない。しかし、商業地域であれば、基本的には高さ制限がなくなる。

しかし、商業地域にするためは、流山市の規定によると、

「原則として、規模はおおむね2ha以上とする」

「原則として、住居専用地域とは接して定めないこと」

とある。

実は、この飛地山の面積は、約1.3haしかない!

本来なら、飛地山は商業地域にすることができない土地の広さなのだ。

ところが流山市は、流山Kの申し立てを認めるため?に、この飛地山を流山駅の向こう側に広がる「流山本町と一体性をもつものとする」という「ウルトラD」の方法を用いて、用途変更を認めたのだ。

しかし、

・都市計画や街づくりにおいて、流山駅という駅舎の存在は、地域を分断する施設として評価するのが常識である。

・流山本町は、江戸情緒あふれる街並みで戸建が多い地域なので、ここに高い建物が造られないよう高さ制限がかけられているが、飛地山については、流山本町と一体のもののはずなのに、同じ高さ制限をかけなくてもよいことになっている。

はて?

高さ制限がない商業地域の土地であれば、建設できる体積が大きく変わるので、土地の価値も変わってくる。もちろん、この土地を売るには、高さ制限がない土地の方が売りやすいだろう。

しかし周辺住民にとっては、飛地山周辺はケアセンターや市役所があるものの、広く戸建住宅が立ち並ぶ地域であるのに、高さ制限なく建物を建設できることになる。

流山市役所による説明会の際に、ここに30mの建物が建ち得るというので、私が「流山市役所は何mですか?」と質問すると、「約20m程度」との回答だった。つまり、市役所の隣接地に、市役所より10m(市役所の1.5倍の高さ)またはそれ以上の高さの建物が建ち得る土地として許可したのだ。

説明会に出席した住民たちから悲鳴のような声があがった。

つまり、流山市は、流山市役所周辺ではあっても、戸建住宅の多い静かな住宅街に、30m、いやそれ以上の建物を建てることができるように、飛地山を「流山本町と一体のものとする」という「ウルトラD」の破格のやり方をもって、第1種住居地域から商業地域への変更を許可したのだ。

さらなる飛地山問題の謎については、明日以降に続く。

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