「流山市・飛地山の謎!ーその1」では、流山市が「ウルトラD」級の破格のやり方で、商業地域への用地変更を流山Kに許可したことについて述べた。
私は、以前、国会議員の政策秘書として働いてきた。主な仕事は、法案を精査し質問を作成したり、議員立法に取り組むこと、などなど。そのために、関連する当事者の話を伺ったり、現場を視察したり、専門家の意見を聴取したり、担当の官僚たちに説明を求め議論し、法律の不備を指摘していく。法律の賛否について、党内で相当な検討・議論をして判断する。また省庁交渉を行なう。時には、大きな怒声が飛び交う中で、議論・交渉していく。
その時に、いつも頭においていたのは、法律(流山市の場合は条例)というものは、黒と白ではないということ。「黒」と「グレー」と「白」で成り立っている。与野党が国会で議論する時間の多くは、「黒や白のラインをどう引くか」ということ、だけではなく、「グレーの幅をどこまでとするか」ということに費やされる。
黒と白というのは、比較的わかりやすいことが多い。しかし、重要なのは「グレー」の部分だ。グレーを広くするのか、狭くするのかによって、利益を得るものの存在、救済できる人の範囲、法律を弾力的に運用できるか、などが決まってくる。極めて重要な議論となる。
そのグレーの引き方に、国会議員(市議会議員)の資質が深く影響する。業界の利益のみを考えるのか、現場が弾力的に運用できるようにするのか、より広く救済できるようにするのか、すべて法律(条例)の書きぶりなのだ。だからこそ、法案(条例案)を検討する国会議員、市議会議員が誰でもいいわけではなく、その資質の選択が、法律(条例)の書きぶりや適用範囲に極めて大きな影響をもち、ひいては私たちの生活に大きな影響を及ぼす。同じように、その適用において、首相、大臣、官僚や市長の資質が大きく影響するのだ。このことを有権者である私たちが、しっかり自覚する必要がある。
翻って今回の飛地山。法律(条例)の適用として、時に行政が「ウルトラD」を使うことはあるだろう。しかし、飛地山の件が「謎」なのは、流山市が、そのウルトラDを「誰のために」「何のために」使っているのかということなのだ。
商業地域として認可された後、流山Kは、データセンター建設を明言した。しかし、考えてみてほしい。データセンターを市役所の隣りにもってきて、電力をどうするのか。災害になった時も、データセンターは絶対に電力を絶やせないだろうが(もちろん、非常電源を用意はしているだろうが)、隣りにある市役所は、「より」絶対に電力を絶やすことができない。それだけの大量な電力を平時・緊急時、隣りあった地域で安定して確保できるのか。データセンターを市役所の隣りに建設することは妥当なのか?
そして、大きな箱のようなデータセンターがドンと建てられる。市役所の隣。戸建住宅地にふさわしいだろうか?流山市は、「民間がやることだから口は出せない」といつもの発言を繰り返すのだが、それで流山市民の安全を守れるのか?住環境を守れるのか?危機意識が足りなくないか?
周辺住民からの声は、「戸建住宅が多い地域なので、高い建物はそぐわない」、「閑静な住宅地に溶け合うものを建ててほしい」というものだ。周辺住民の大変な働きかけによって、データセンター建設は断念された。しかし、流山市は、約1.3haの飛地山を商業用地のままにして、元の第一種住居地域には戻さないとしている。
一方、周辺住民は、第一種住居地域に戻すべきだと訴えている。なぜなら、今は高建設されなくても、商業地域である限りは、基本は高さ制限なしなので、将来何が建つかわからないという不安がずっとつきまとうからだ。飛地山は、もともと第一種住居地域にしかできなかった大きさの土地なのだから、商業地域のまま、将来にわたって高い建物が建つ可能性を残すのではなく、本来の第一種住居地域に戻してほしいという訴えなのだ。私には、真っ当な訴えだと思える。
市民の中には、商業地域のままにしておくのは、流山Kがより高く飛地山を転売するのに都合がいいからではないかと言う人までいる。
私は、流山市のウルトラDのやり方が、周辺の市民のために行われるのなら文句は言わない。しかし、現在のように市民と業者が対立した時に、流山市は、なぜ一貫して業者の側に立ち、市民の側に立てないのか?
そのことが、私にとっての最大の謎なのだ。
飛地山の謎は、まだ続く。
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