流山市内での水泳授業の在り方について考える。2025.07.11公開

子ども・子育て支援

NHKの視点論点で、東京海洋大学准教授の田村祐司先生による「いのちを守る水泳授業とは」を聞いて学んだので、共有したい。

岩手県や静岡県の一部自治体の中学校で、プールでの授業を廃止する動きがあるそうだ。広報ながれやま2024年3月11日号によると、流山市では、水泳授業を外部委託する学校が、2024年度市内7校、2025年度は13校に拡大する予定とある。

日本の水泳教育は、多くの修学旅行中の児童が亡くなった、1955年の紫雲丸沈没事故をきっかけに、水難事故から身を守る術を学ぶ必要性から始まったという。

現在でも、日本では、年間700〜800名が水難事故で死亡・行方不明になっており、OECD諸国の中でも溺水率が4.9と最も高い。

溺水予防のため、田村先生が重要だと指摘されるのは、

背浮きとライフジャケットの着用だ。

背浮きについては、人間は空気を吸うと水より軽くなり、体の2%が水面に出る。背浮きできると、口と鼻の部分が、その2%となって呼吸できるそうだ。

ライフジャケットの着用も、水に対する恐怖心を和らげ、水泳に前向きになるための非常に有効な道具とのこと。2020年の指導要領改定で、背浮き技能の補助具として明記されているそうだ。ただし、教育委員会が備品として整備しているだろうか?

田村先生は、水辺での活動でも、水災害時のためにも、いのちを守る術としてライフジャケットの着用意義を知ってほしいし、車のシートベルトのように根付いてほしいとおっしゃっていた。

私の子どもは、鰭ケ崎小学校出身。小学校の時に、「学校のプールで、着衣のままで浮く練習をした。」と、子どもから聞いたことがある。またペットボトルなどを投げて、人を助けることも学んだようだ。これは、溺水しないため、いのちを守るためにとても大切な授業だと思う。田村先生は、「身の回りの浮くものは何か」を児童生徒に考えさせることも大切だと指摘していた。

流山市内では、スイミングスクールに通う児童生徒の数が多いという印象だ。そういった子どもたちは、「早く泳げることを見てもらいたい!」という思いが強いかもしれない。流山市だけでなく、現在の日本の水泳授業は、競泳的な指導を理想とする傾向にあるとの指摘があった。

しかし、学校教育においては、早く泳ぐことよりも、いのちを守るための技術を習得することの方が大切なのではないだろうか?

あるお母さんから、「教えるコツがあるのか、やはりスイミングスクールの先生から教えてもらうと、すぐに泳げるようになるよ。」と聞いたことがある。

外部委託をするのであれば、外部であっても、必ず背浮きやライフジャケット、助ける技術などをきちんと学ぶことを確保すべきだと思う。

最後に、田村先生の言葉を記したい。

「水泳教育の目的は、泳げるようになることも大切だが、それ以上に、浮いて、溺水から自分で自分を守る、生きる力の教育であるべきです。」

「水に落ちた時どうするか、どうやって助けを待つか、周りのものを助けるためにはどうしたらいいか。それを知識と技能で身につけた子どもは、自分のいのちだけでなく、他者のいのちをも助けることができるかもしれません。」

この指摘は重い。

日本の学校水泳教育は、今、転換点に立っているという。

流山市内の学校においても、たとえ外部委託で水泳授業を行うとしても、必ず背浮き・ライフジャケットなど、「溺水しない」「生きるための力」を蓄えるための術をきちんと身につけるよう指導してほしい。

また毎日いろんなことで忙しく、大変な子どもたち。学校の水泳授業では、早泳ぐことや「何m泳げないといけない」と求めるのではなく、ぷかぷか浮いたりしながら、水で楽しむ、水が楽しいと思える授業にして、もっとホッとリラックスできる時間にしてはどうだろうか。

また、水泳授業では、競泳的指導以上に、「溺水せず、生きるための力」を学ぶことが大切であることを教育委員会・教職員はもちろんのこと、保護者とも共有してほしい。

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