赤ちゃんの取り違え事件。行政の対応のミスの責任は重い!流山から吠える。2025.04.25公開

健康・医療

4月21日、東京地方裁判所は、ある判決を下した。

67年前、都立「墨田産院」で、赤ちゃんの取り違いがあったという。別の赤ちゃんと取り違え慣れた当事者の男性が、自分の生みの親を知りたい、「出自を知る権利」があり、東京都は、その調査をする義務があると訴えた裁判だ。

このようなケースは、是枝裕和監督の映画「そして父になる」でも描かれたケースだと思うが、実はあまりにも辛いので、私は、この映画を未だに見れていない。

ニュース報道で聞いて、こんな人生があっていいのかと、何とも言えない気持ちになった。

幼い頃から、親戚から「似ていない」と言われたり、弟とも性格が全く違う。違和感を感じて育ったという。家族との不和から、14歳で家を出て、クリーニング店で住み込みで働いたという。

その後、血液検査の結果で、検査した医師から、「お父さん、お母さんの血は1滴も流れていません。」と言われ、頭が真っ白になったという。それはそう。信じられない事態。

東京都は、20年以上、この件について調査することを拒否していたという。この対応、信じられない。今回も「調査の義務はない。第三者のプライバシーを侵害するおそれがある」としていたという。その反論も信じられない。

東北大学の赤石英名誉教授によると、1971年までの15年間に、少なくとも32件起きていたという。それほどの人たちが、取り違えられ得ていたとは!この数は、実際は、もっと多いのだろう。

現在では、赤ちゃんが生まれるとすぐに足に名札をつけてもらう。そういうことが当たり前ではなかった時期があったのだ。

今日、東京都は、本判決について「控訴しない」として、判決が確定した。東京都は、これから調査するという。控訴断念は、当たり前だと思うけれど、本当によかった!!!

もっと早く、裁判をしなくても、道義的な責任をとって、東京都が早急に調査をしていたら、原告の江蔵智さんの人生も、双方の両親や家族らの人生も変わったのではないか。行政が責任をとらない姿勢が、どれだけの人の人生を変えてしまうのか。東京都は、大いに反省してほしい。

今回の判決は、憲法13条をひいて「日本では、出自を知る権利は法制化されていないが、個人の尊厳などを定めた憲法13条が保障する法的な利益だと言える。事の重大さから、病院は取り違えがあった場合、できる限りの対応を取る義務がある。」とした。当然で、常識的な判決だったと思う。

小池百合子知事の就任時にも、この調査を拒否していたわけだが、とにかく、この判決を受け入れてくれてよかった。東京都は、この問題の深刻さを受け止め、早急に調査結果を出してほしい。双方の親、家族、それぞれに心揺さぶられるような事態だが、可能ならば、お互いに会い、改めて関係が築けるといいと切に願う。

時が流れ、親(特に母親)も、子どもたちも歳をとっている。早く事実が明らかになり、新しい関係が生まれ、全ての人の心に合点がいき、新たな関係と安堵が訪れることを願ってやまない。

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