奈良の父子心中事件。流山にも「みんなのサポート・センター」を!

子ども・子育て支援

12月25日の朝日新聞の夕刊に、奈良県のダムで心中したシングルファーザーと娘さんの事件を取り上げていた。この事件を覚えている。今回は、その詳細が掲載されていた。哀しい事件だった。

シングルマザーへの支援は進んでいるが、シングルファーザーへの理解と支援はなかなか進んでいないように思う。記事を読んで、父親が、なんとか娘を生かそうとしながらも、周りがグダグダ、助けてもらえず、心を閉ざし、娘と共に自死に突き進んでいった様子が浮かんできた。

私は、児童虐待防止法の成立前から、議員と共に勉強を重ね、現場にも伺い、考えてきた。児童相談所の大変さも理解しているつもりだ。それでもなお、父親が「死にたい」と口にしているにも関わらず、折り返しの電話が1時間後、対応がそのまた1時間後だったというのは、理解できない。対応が遅い。

警察との連携も遅い。警察の民事不介入という大原則を大きく変えたのが児童虐待防止法。警察の強制力を子どもたちを助けるために使う。これは、ものすごい大きな変化であり、英断だった。しかし、それが、まだうまく機能していないのか。もっと早く、父親の携帯の位置情報を確認できていたら。

私は、これまでの児童相談所で出会った子どもたち、若かった私に勉強の機会を与えてくださった児童相談所所長らが、私に何を託したいのかを知っているつもりだ。だからこそ、2023年の流山市長選挙の際に「みんなのサポート・センター(仮称)」が必要だと訴えた。

流山市には、現在、DV被害者のためのシェルターもない。「レスパイト」(休養)は、とても大切なこと。すべてを一人でやらなければならないシングルの保護者。本当に大変だと思う。自分のことだって、いろいろあるはず。だからこそ、しばらくレスパイトしながら、誰かの支援を受けながら、穏やかにゆとりをつくって生活することが必要。それができる場が必要だと確信している。

この父親が、「みんなのサポート・センター」にアクセスできたら、自死を選ばなかったのではないかと思う。子育ては、大変な時もある。でも、振り返ると、「あんなこと、よくできたな〜」「今ならできない!」と思うことが多々ある。そして、大変な時は、きっと過ぎ去る。また次の大変な時が来るけれど。でもそうやって、人は一つ一つを乗り越えて生きていくのだと思う。

娘の発達についても悩んでいたようだ。情報ばかりが溢れている中で、追い詰められていったのではないか。これも保育園など、周囲の人が力になれなかったのかと思うとつらい。悲劇が起きてからでは遅い。とにかく、今の制度と、その運用を磨いていくしかない。

上田恵子の「みんなのサポート・センター」
(2023年流山市長選挙のチラシより)

国会で政策秘書として働く中で、高齢者、障がい者の様々な問題に取り組みました。その中で、日本は「保護される」ことへのハードルが高いと感じました。だからハードルをなくしたい。「今日はお母さん疲れているから、ここに泊まっていこう」「お兄ちゃんが手術するから、今週はここから学校に通おう」そんなふうに、保護が必要な時に、誰でも利用できる場所をつくります。

私は、全力で子育てをしてきました。でも、自分がよい母だとは思っていません。大声で叱った時は、いつも余裕がない時でした。だから「親が余裕をもつことは大切」と痛感しています。「みんなのサポート・センター(仮称)」は、子育てや家族について学び、親も少しだけ余裕をもつためにお手伝いする場所です。日頃から親子で遊んだり、ものづくりをしたり(3Dプリンターも使えたら!)、未就学児の健診も行います。そんな「いつもの場所」で相談や保護をします。いじめ、不登校、ヤングケアラー、子どもたちのさまざまな課題を専門家や同じような悩みをもつ人同士のピア・カウンセリングなど、様々な手法で一緒に考えていきます。市長もお手伝いします。

また、子育て中は子ども優先になりがち。子どもを預け、後回しにしがちな自分の健康診断をしましょう。女性特有の病気など、女性たちに必要な健康情報や健康相談が受けられます。夫婦カウンセリングも利用できます。DVや性暴力の被害者がゆっくり休めるシェルター機能も併設します。離婚時の子どもの意見の聞き取りも、専門家が行います。

自分だけで悩まずに、質の高い専門家の力を借りて、子ども、保護者、シニア、みんなが元気に、穏やかになれる場所、それが上田恵子のつくりたい「みんなのサポート・センター(仮称)」です。

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