去年の新聞を整理していたら、こんな記事を目にした。
山口県美祢市にあるパン屋さん。
営むのは、内藤さんという女性。
秋吉台で有名な美祢市には、数年前、亡くなった父たちと訪れたことがある。
なんと台風に直撃され、私は、豪雨と強風の中を父の車椅子を押しながら、秋吉台を見学した。
その時に車を駐車させてもらったのが、おみやげ&食事処の「上田屋」さん。
たまたま、私の氏と同じ。帰り際、女将さんが追いかけてくる。
話を聞くと、私と、ある共通点があって、女将さんは商売をしながら、それをやり遂げられた。
その話を聞きながら、お互い頑張りましょう!と抱き合って泣いたことを思い出す。
私にとって、美祢市は、そんな温かい思い出と共にある。
話は長くなったが、そんな美祢市でパン屋を営む内藤さん。
その記事を読んで、涙が溢れた。
彼女は、生後間もなくから養護施設で育ったのだそう。
お金も自由にならない中で、それでも初めて市販のサンドイッチを食べた時に、
「ハイターみたいなにおい」がして、食べられなかったという。
施設に暮らし、自分の思い通りにならないことが多い中で、
それでも施設では「食で自分の人生が支えられてきたいことに気づいた。」という。
「施設ではいつも手作りのものを食べさせてもらっていました。」
「自分のことを思ってご飯を作ってくれる人がいた。それが生きる上で大切なんだなって思いが、いまのプチラボをつくっているんです」
と、語っている。
彼女は、いま3人の子どもを育てていて、自分で図書館に通って勉強して、パン屋さんを開業し、大人気のお店にしている。すごい頑張り屋さん。
自分の境遇を変えることはできないけれど、それに負けないで、それに甘んじることなく、「何が大切なのか」ということに気づく感受性を持っていた内藤さん。そして、その思いが他者と共有された時、単なる「金儲け」ではない、誰かを喜ばせる、誰かを幸せ〜にするビジネスがしっかりと成り立ったのだと思う。
美祢市の女将さん、元気かな?
上田屋さんで購入した石たち、そしていただいた記念プレートを眺めながら、
いつか美祢市の上田屋さんとプチラボベーカリーを訪れたいなと思っている。
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