石破首相とトランプ大統領の日米首脳会談が行われた時、ある声明が発せられた。
国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長による声明だ。
ICCは、昨年11月に、ネタニヤフ首相やハマス幹部らに逮捕状を出した。今回、トランプ大統領は、ネタニヤフ首相の訪米に際して、ICC職員やその家族の資産凍結、渡航禁止などの制裁措置を可能とする大統領令にサインした。2月7日、そのトランプ大統領の大統領令に対して発せられたのが、上記ICC赤根智子所長による声明なのだ。
日本政府は、この世界において、今後4年間、西側諸国の中からアメリカという国を失ったことを未だ理解していない。
ICCは、アメリカ大統領令に対して「深い遺憾の意」を示した上で、「ICC加盟国、法の支配に基づく国際秩序、そして数百万人もの残虐行為の被害者たちと彼らの(処罰による)希望への深刻な攻撃だ」と非難した。そして「国際刑事裁判所の独立性や公平性に干渉しようとする、いかなる試みも断固拒否する」とした。
不当なアメリカ大統領令に対する素早く、重要な指摘だ。
ICC加盟国125カ国・地域のうち79カ国・地域が、アメリカ大統領令について「深刻な犯罪が免責にとなる危険性を高めるものだ」と批判し、その制裁により、現在進行中の捜査が阻害されるだけでなく、ICC職員や事件関係者の安全が脅かされると訴えた。この声明には、イギリス、フランス、ドイツ、カナダなどが名を連ねているが、赤根智子ICC所長の出身国である日本は、加わっていない。
恥ずべき判断だ。
日本政府のこのような姿勢が、どれだけ、この世界の法と秩序を脅かすものなのか。
だから日本は信頼されない。
そのことを肝に命ずるべきだ。
ICCは、このような脅迫と闘いながら、武力紛争法、国際人道法に基づき、被害の事実を積み重ねながら、今、私たちの目の前で起きている戦争犯罪を捜査、確定し、処罰しようとしている。
私は、この流山市から、ICCのその努力に敬意を表すとともに、これらの圧力に屈することなく、その正義が、確実に為されることを心から祈念している。免責は絶対に許されない。
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