長生村で起きた殺人事件。流山市はどうか?2025.02.18公開

誰一人取り残さない

2月17日、千葉地裁で、昨夏、千葉県長生村で起きた、父親が重い知的障害のある子どもを殺害した事件の公判が開かれたという。

長生村というと、のんびりとした街。このような事件がなぜ起きたのだろうかと思っていたが、父母は、神奈川県の小田原市から越してきたのだという。

この事件について覚えていたものの、当時大まかな記事しかなかったので、その詳細を記事を通して改めて知ることができた。

とにかく、残念としか言いようがない。

なんとか、親子を救うことができなかったのか。

行政にも、責任があると言わざるを得ない。

この親子の場合、2006年の時点で、父親が息子の首を絞めたことが施設職員にわかっている。コロナもあった。しかし、この問題を理解している人ならば、コロナ禍にあっても、ここはエッセンシャル・ワーカーである施設職員に受け入れてもらうべきだった。優先順位を上にもっていくべきだった。そのことに思い至らず、一律に制限をした行政の長にも責任がある。コロナの時期、本当に苦しんだ親御さんも多かったことだろう。

近所の人たちの話を聞くと、やはり家族のことは外からはわからないのだとつくづく思う。

母親は、引っ越しするときに、近所の知人にこう言ったという。

「今までうるさくして、もし自分だったら耐えられないけど、何も言わないでくれてありがとう。」

でも何か、一歩できなかったかなと思う。

裁判の中で、さまざまなことが明らかになると思う。

家族は、その子が生まれた時から知っているのだから、どうしたらいいのか、その人が何を欲しているのかなどは、かなりわかるだろう。しかし、どうしたら改善するのかについては、いろいろ学びつつも、手探りで、十分とは言えないのかもしれない。

医師は、どのように関与していたのか。

支援者は、どのように関与していたのか。

行政は、どのような対応だったのか。

親が一度でも手にかけたのであれば、どうして息子を預かることができなかったのか。

私は、2023年流山市長選挙の時、以下の公約を挙げた。

◯介護する家族や職員のからだと心を休ませる(レスパイト)

「みんなのサポート・センター(仮称)」を活用し、介護をする家族や職員が、からだとこころを休ませること(レスパイト)ができるような場所や体制をつくります。

とても大切なことなのだ。家族がレスパイトできる体制があれば、このような事件は起きなかったと思う。これは、単に障害のある方のご家庭だけでなく、子育て中の親、特に母親にも利用して欲しいと思っている。

私自身、社会福祉士の資格を取るための実習で、重度の障がい者のための施設に伺ったことがある。そこは、若いスタッフが多かったけれど、信じられないくらいプロフェッショナルな対応だった。勉強になった。共にいる職員の姿勢が変わると、障害をもつ人の態度も大きく変わる。

2023年に放送されたNHKETVの「鍵をあける 虐待からの再出発」という番組で見た施設利用者の変化は、福祉を仕事とする人にとっての大きな苦しみと大きな喜びの両方を見せてくれた。

重度の障害や、親の体調によっては、子どもを専門家に渡すということがとても大切だと思う。

一方で、グループホームばかりが増え、重度の障害をもつ人の施設は、なかなか充実しない。

自分の子どもが、障害があっても、人として大切に扱われて暮らせる場をどの親も望んでいるが、十分ではない。

現状をしっかり見て、その苦しみをわかって、真に支援できる行政をつくらなければ、このような悲劇は繰り返す。だからこそ、その責任は、決して当事者の親だけでなく、私は、行政にも責任があると思うのだ。人を支えることができるのが、行政の仕事であるはずだ。

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