流山市いじめ重大事態に関する調査報告書の公開方針を読んで。2025.03.02

子ども・子育て支援

2月14日、流山市教育委員会が「流山市いじめ重大事態に関する調査報告書の公開方針」を発した。

公開方針の文書は↓にあり。

流山市HPよりhttps://www.city.nagareyama.chiba.jp/section/1010073/1010076/1010079/1032608/1029659.html

↑ここにある通り、流山市教育委員会は、調査報告書のほとんどが公開されてこなかった。

その公開方針を決めたことは一定の前進だと思う。

しかしながら、公表方針を読んだが、私が市長だったら、違うやり方になると思うところがあるので、お伝えしたい。

用語:

対象児童生徒:いじめにより重大な被害が生じた疑い又はいじめにより不登校を余儀なくされている疑いがある児童生徒

関係児童生徒:いじめを行った疑いのある児童生徒その他当該重大事態に何らかの関わりのある児童生徒

(文部科学省「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」に準拠)

1)いじめ重大事態の案件であるので、公開を原則とするということをはっきり明記する。

この大原則を揺るがさない。案件によって変えない。この大原則については、流山市内の学校入学時に必ず丁寧に、書面、口頭、共に説明し明示する。私なら保護者の了解印を求める。

2)1)の例外は一つだけ。対象児童生徒またはその保護者が望まない場合は「絶対に」公開しない。ただし、その場合でも、対象児童生徒またはその保護者の申し出により公開しない旨を公開することによって、事案の発生については公開する。無かったことにしない。公開後であっても、対象児童生徒またはその保護者からの申し出で、公開を中止できる(これは、現公開方針でも明記されている)。

3)流山市は、調査報告書の公開に際して、下記の3種類を考えているようだが、私が市長なら、下記のうち、黒塗り版を「ネット上」、つまり流山市のHPに掲載することはしない。流山市、教育委員会は、いったんネット上に出した情報の怖さを理解していないのではないか。

・黒塗り版:調査報告書の一部を黒塗りした版

・概要版:調査報告書の公表版

・再発防止策に関する部分のみの公開:

対象児童生徒(いじめの被害にあった児童生徒)が公開を望まない場合

4)流山市HP上には、概要版(事案の概要、調査の実施概要、調査の経緯、解決状況、再発防止策など)のみを掲載する。それ以上をネットで公開する必要はないと考える。それ以上の情報が必要な方については、黒塗り版を流山市役所教育委員会において、申込み・本人確認をした上で、一定期間、調査報告書を読めるようにする。

5)調査報告書公開の確認は、対象児童生徒本人→対象児童生徒保護者→対象児童生徒本人(これはどうしても子どもは、親の意向に左右されがちだからだ)と丁寧に確認し、この方針には書かれていないが、当然書面で確認を取ること。

6)公開される調査報告書については、関係児童生徒及びその保護者についても、これを確認し、修正を求めることができる。ただし、その修正については、対象児童生徒及びその保護者の了承が必要である。

7)調査報告書の公表自体について、関係児童生徒及びその保護者に同意を確認しない件については、現公開方針の通りで良い。

 

P2 第3−1に、公開するのに満たすべき要件が3つ挙げられている。

その②公表によって対象児童生徒を含む関係者の生活や学習、いじめを行った児童生徒の反省や対象児童生徒との関係修復その他の学校の教育活動に対する重大な支障が生じる恐れがないと認められること。

この部分が気になる。これまで、この部分の内容が理由で、公表が阻止されてきたと聞いている。

だからこそ、大原則として公開されることが大切だ。

一方で、関係児童生徒たちもまた、人としての学びの過程にいることも大切にしなければならない。ただし、あったことを無しにすることはできない。だからこそ、公開の原則を曲げてはいけないと考える。なぜなら、ここで公開されるのは、「重大事態」となった案件だからだ。ちょっとご競り合いがあったくらいでは、公開とはならない。

だからこそ、日頃から、「いじめをしてはいけない」ということも大切だが、「なぜ、いじめをしてはいけないのか」ということを親子ともども考えていくことが、家庭でも、学校でも、地域活動でも、繰り返し大切にされなければならないと思う。

最後に、この調査報告書については、必ず、毎年の教員の研修で読み、どのような対応を取るべきだったのか、教員が考える契機として取り上げられるべきと考える。

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