NHKが4月1日に放送した「クローズアップ現代」は、「被害者が訴えられる〜震災14年 訴訟300件超はなぜ〜」だった。
NHK「クローズアップ現代」:
東日本大震災の際に、自治体が貸し付けた「災害援護資金」の返済期限13年が過ぎた。約2万8000件の多くが期限を迎える中で、返済できないケースが出てきている。その滞納額は約63億円。滞納の場合、自治体が、代わって国と県に返済しなければならず大きな負債を抱えることになる。
個人商店を営んでいた女性は、事業を再開したものの、人口減少のためうまくいかず、結局は個人の生活資金に流用されていた。
返済を求めるため戸別訪問する自治体職員もまた被災者で、以前から顔見知りで、その困窮状態を知っている人に返済を求めなければならない。厳しい現状だ。
本来、市民に最も近いところで、市民、被災者に寄り添う支援を行うものが取り立てをする仕組みとなっていることに問題がある。
誰もが簡単ではなかった中で、多くの人は返済している。だからこそ、対応が難しい。
紹介されていたのは、社会福祉協議会の関与だ。社会福祉協議会からは、滞納者の名簿があれば、戸別訪問する中で相談に乗ることができるというものだった。名案だと思う。福祉協議会には、「生活福祉資金貸付制度」というものがある。家計改善などをしながら、返済をしていく相談もできる。
ところが、滞納者の名簿が出てこない。個人情報保護法への抵触を恐れるからだ。これに対して、番組の中で、津久井進弁護士から、個人情報保護法69条が紹介されていた。
第六十九条 行政機関の長等は、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない。
2 前項の規定にかかわらず、行政機関の長等は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供することができる。ただし、保有個人情報を利用目的以外の目的のために自ら利用し、又は提供することによって、本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。
一 本人の同意があるとき、又は本人に提供するとき。
二 行政機関等が法令の定める所掌事務又は業務の遂行に必要な限度で保有個人情報を内部で利用する場合であって、当該保有個人情報を利用することについて相当の理由があるとき。
三 他の行政機関、独立行政法人等、地方公共団体の機関又は地方独立行政法人に保有個人情報を提供する場合において、保有個人情報の提供を受ける者が、法令の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で提供に係る個人情報を利用し、かつ、当該個人情報を利用することについて相当の理由があるとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、専ら統計の作成又は学術研究の目的のために保有個人情報を提供するとき、本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になるとき、その他保有個人情報を提供することについて特別の理由があるとき。
3 前項の規定は、保有個人情報の利用又は提供を制限する他の法令の規定の適用を妨げるものではない。
4 行政機関の長等は、個人の権利利益を保護するため特に必要があると認めるときは、保有個人情報の利用目的以外の目的のための行政機関等の内部における利用を特定の部局若しくは機関又は職員に限るものとする。
非常に有用な指摘だ。ところが、避難の時の「避難行動要支援名簿」の時と同じように、一番責任を取るべき「首長」が出てこない。腹を括れない。だから、現場が右往左往しなければならなくなる。選挙で当選しなければならない首長は、逃げようとするのだろうが、このような時に腹が括れない人物が首長でいる資格はない。被災地ではなくてもそう。
自分の利益のためには、法律や条例を曲げてでも動かそうとする首長が、市民のためには法律や条例でできることをやろうとしない。
社会福祉協議会と輪島市の会議に、最も出席しなければならなかった輪島市長がいない。
だから解決しない。
この問題は、被災地の問題だけにとどまらないので取り上げた。
コロナ特例緊急小口資金・総合支援資金の償還が始まっているからだ。
流山市も例外ではない。
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