セバスチャン・サルガドという写真家をご存じだろうか?
私は、サルガド氏の写真展を何度も拝見した。
白黒の写真。そこに映し出される人々の姿と光。
人知を超えた存在が、彼に「この瞬間を撮りなさい」と差し出したのではないかと思うほどの一枚。
それが何枚も続くのだから、これは天才としか言いようがないと思っていた。
鉱山で働く人々の姿。
移民の姿。
サルガド氏の知性というフィルターを通して、一枚が切り取られる。
それは、時を超えた力をもち、見る私たちに訴えかけてくる。
人の尊厳とは何か。
本当に立ち尽くして、彼の写真を見ていた若き自分がいる。
東京では、写真専門学校であった講演会に参加した。
学生たちの質問は、私から見ても幼稚で、技術ばかりにとらわれていた。
そういった質問が続き、彼の元気がなくなっていくのを感じたことを思い出す。
写真とは、単なる技術ではない。何を撮るのか、何を切り取るのか。
写真家の知性が問われること、それをどう磨くべきかについて、学生たちは理解していなかったようだった。
サルガド氏については、書籍も、ドキュメンタリー映画もある。
地球の環境の破壊に警告を鳴らしてきた。
彼の力強い作品に再び光が当たるといいと思う。
多くの人に、今もインスピレーションを与えてくれると思う。
ご冥福をお祈りしたい。
下記は、我が家にある、彼の写真集。


コメント