流山からカプリオ判事の仕事を讃える。

憲法

フランク・カプリオというアメリカ、ロードアイランド・プロビデンス地方裁判所所長だった判事のことをご存知だろうか?

私は、カプリオ判事のことをSNSで知った。アメリカでは、彼の裁判がテレビで放映されたようだ。SNSやYoutubeでも、いくつかの裁判の様子が見られるが、最初に見たものは、次のようなケースだった。

90歳を超えた男性が交通違反で捕まった。その理由を聞くと、がんになった息子を2週間に1回、病院に連れて行かなければならないのだという。彼に対して、カプリオ判事が言う。

「あなたは、素晴らしい人だ。あなたは、アメリカというものを体現している。90歳代であるあなたは、今でも家族の面倒をみている。素晴らしいことだ。」

彼は、有罪にならなかった。これは公正ではないと言う人もいるだろう。もちろん、彼が同じような違反を繰り返すようならば、病気をはじめとしたケアも必要だろう。しかし、それを見守る(観察)という選択肢もあると思う。

そのカプリオ判事が、先日、癌のため亡くなったという。88歳だった。

彼は、自分はいつも思いやりがあったわけではないと言う。判事になって初めての裁判、4人の子どもをもつ母親が交通違反の罰金を払わないことを厳しく追求したという。この裁判を傍聴していたカプリオ判事の父親は、こういったと言う。「あの罰金を払ったら、4人の子ども達に晩ご飯を食べさせられないじゃないか。車がなくなったら、子どもたちを学校へ送ることができないじゃないか。お前をそんな風に育てた覚えはない。」

それから、一人一人の状況を考えながら、判断するようになったという。

Be kind. 親切であれ。

Be fair.  公正であれ。

Be human. 人間的であれ。

そして、今、彼はこう言われている。

人生をやり直すチャンスを与え続けた人。

働き者のイタリア移民の家庭に生まれたカプリオ判事。幼い頃は、靴磨きや食料品店で働いて家計を助けたという。大人になって、教師になり、その後、夢だった法律家になるため、法科大学院に入り直し、弁護士、判事となった。

「あなたは、人生をやり直すチャンスを与え続けた人だ。」と言われるというのは、法律家として、これ以上ない褒め言葉ではないだろうか。

ご冥福をお祈りする。

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