トランプ大統領が就任してから5日。
ものすごい数の大統領令が発せられるなど、アメリカが大きく動くかのような「印象」を与えている。
その中で、米国の国土安全保障省のハフマン長官代行が、女性初の沿岸警備隊のトップであるリンダ・フェイガン司令官を解任した。解任の理由の一つが、過剰なDEI(多様性・公平性・包括性)施策だとしている。許し難い。
これまで、このような地位につくために、女性たちがどれだけ耐え難きを耐えながら、今のポジションを得てきたのかを想像し、いたたまれない。彼女たちが乗り越えてきた訓練を1日たりとやり遂げることができないでような人物から、このような仕打ちを受ける日が、アメリカにやってくるとは。
トランプ大統領就任演説を聞いたNHKの国際部石井氏の第一声は「衝撃でした」だった。
私もまた衝撃を受けていた。
彼は日本の公共放送を代表する人物であるから、その詳細を述べることは憚られたが、ぜひ聞いてみたい。
私は、こんな稚拙なスピーチを誰が書いたのか?と思った。
歴史に残る史上最悪、稀に見る稚拙な就任演説であることは明らかだった。
ナチス政権と同じように、本来なら、その能力であれば認められなかったような能力しかない人物が政権の内外で、権力を持つ地位に就こうとしている。国防長官になる予定のヘグゼス氏は、公聴会で「ASEANに加盟している国を一つでもいいからあげてみよ。」と問われ、一つの国も正解を語れなかった。中学生でも知っている。国防長官は、外交ができなくては務められないことを指摘しておきたい。このヘグゼス氏のセックス・スキャンダルや「戦闘に女性はいらない」という発言。こういう人物が、国防長官になれる日が、アメリカにやってきていることに、「アメリカ社会の底が抜けた」という印象をもっている。
こういう社会は、必ず「社会を腐らせる」。つまり、内部から社会が崩壊するということを指摘しておきたい。
さっそく、(ファクト・チェックをやめると発表した)メガを始めマクドナルド、ウォルマートなど大手企業などが、DEI(多様性・公平性・包括性)施策を廃止・見直し始めた。DEI担当部局の公務員は、有給休暇をとらされている。このような企業の「本音」が明らかになったいま、消費者である私たちが、その企業の価値を「判断」する必要があるだろう。
DEI(多様性・公平性・包括性)施策は、日本にも影響を及ぼす可能性がある。この政策は、白人男性たちが「下駄を履いてきた」状態から、その下駄を白人男性以外にも用意するためのもの。女性、障害者、外国人(移民)などがその能力や努力を公正に判断され、扱われる社会をつくるためだ。アメリカの繁栄は、白人男性「以外の存在」によっても、大きく支えられてきた。そして、その働きをきちんと「公正に」評価し、支援し、扱う。これが否定をされた時、アメリカは社会のダイナミズムを失うことだろう。
これから、トランプ大統領が発言したことが実現されていけば、必ず、アメリカ国民は大きな代償を払うことになる。物価、経済、ダイバーシティ、医療保険、司法、教育、災害対応、あらゆるもので、代償を払うことになるだろう。
市民が、「正確な知識をもって自ら判断することができない」と、「ネットの情報を鵜呑みにして、その内容を自ら判断できないと」、自分達が選んだ人物から、彼らではなく、自分たちの首を絞めることになるという、具体例をこれからアメリカ社会が示してくれることになるだろう。
そうなってからでは、遅いが。
日本は、アメリカを他山の石にできるだろうか。
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