現在、毎日、2025年のノーベル賞が発表されている。生理学・医学賞の坂口志文さんに続き、化学賞でも北川進さんが受賞となった。
パワフルな北川さんの会見で印象的だったのは、荘子が説いた「無用の用」という考え。役に立たないとされていることが、実は大切な役割を果たしているという考えなのだという。
北川さん曰く、「考え方をひとつ変えるだけで役にたつ」「一切揺るがず、さらに(この研究を)進めていこうと思った」とおっしゃっていた。
とはいえ、研究の歩みは平坦ではない。1999年にアメリカの学会で発表した時には、かなり叩かれ、「暑さもあり、涙なのか汗なのかわからないという状態だった」という。紛れもなく、涙だったのだろう。その悔しさをバネにできる、体力と強い気持ちが、医療、エネルギー、気候変動対策など、幅広い分野で利用が期待される多孔性金属錯体をもたらしたのだと思う。
若い人たちには、
「知的好奇心が大事。別に今、役に立つとは思われていないけれども、違う視点でやれば、そちら側が非常に大きくなる。そういうこともあるので、もうすでに皆さんがいっぱいやったから、もうやることはないとあきらめた気分にならずに、ますますチャレンジ精神をもってやっていただきたい。」というメッセージを送っていた。
今の研究は、どうしてもAIなど注目されがちでキャッチーな方へと研究者が集中しがち。多くのノーベル賞受賞者らが発言するように、日本は、もっと基礎研究に予算をかけ、研究者を支えていかなければ、これから20年後に、こういった賞をもらうようなマイルストーンとなる研究はできないと思う。
また、日本のノーベル賞受賞は、(今のところ)公立高校出身者ばかりという記事もあって、興味深く読んだ。
きっと「じっくりじっくり、粘りに粘って、評価されなくても、喰いついて研究する」タイプの研究者でないと、大きな転換を実現する結果を生み出すことはできないだろう。
研究者たちは、ノーベル賞やその他の賞をもらうために研究しているわけではない。しかし、昨今は、研究費にも影響するためか、どうしても評価を求めてしまうのかもしれない。それが、日本の成長を阻害している気がする。
日本は、もっと無用の用を真に理解し、基礎研究はもちろん、応用研究にも、予算をしっかりと割り振って、化学技術を発展していくことが、日本の成長、世界への貢献につながっていくはずだ。


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