流山から国際刑事裁判所(ICC)に渾身を込めた激励を!

司法

アメリカが国際刑事裁判所(ICC)を本格的に攻撃し始めている。ICCがイスラエルのネタニヤフ首相への逮捕状を発したことと無関係ではないだろう。

国際刑事裁判所(ICC)は、2002年7月ハーグに設立された。現在、日本を含む120カ国・地域が加盟。それまで国際社会に戦争犯罪を犯した個人を処罰する「恒久的な機関」はなかったが、このICCは「人道に対する罪」「集団虐殺」「侵略犯罪」などに関する犯罪を捜査・立件し、加害者に逮捕状を発し、逮捕、拘禁、裁判、処罰することができる。

ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦で起きた民族浄化を覚えている方もいるだろう。あの戦争犯罪は特別法廷が処罰した。その結果、ミロチェビッチ元大統領は、国連拘置所で死亡している。

このように、ニュルンベルク裁判や東京裁判以来、恒久的な法廷がないために特別法廷の形で戦争犯罪を追及してきた。ICCは、戦争犯罪・人道に対する罪によって多くの人々が極めて非人間的な殺され方をされながらも、その加害者を処罰してこなかった世界を変え、

「どんな地位の者、どんな国であっても、自ら犯した加害の責任から逃れられない」

という規範を人類が創り上げた叡智の成果だ。もちろん、完全ではない。しかし、その一歩がどれだけ大きなものであっただろうか。

しかし、アメリカはそれが許せない。

「国家元首や国家であってもimpunity(罪の責任を問われない)は許されない」

という国際社会の決意が許せないのだ。特に、トランプ大統領は、「私が法」とばかり、アメリカ国内でも、自らの無法ぶりは酷いものがある。現在、その一つひとつをアメリカの司法が否定し続けている。

私自身は、20代30代を、このICCの設立とともに歩んできた。この人類が初めて創り上げた組織の規範について学び、議論した。私にとっても、相当に思い入れの強い組織である。

当ブログですでにお伝えしたように、現在、このICC所長を務めるのは、検察官出身の赤根智子氏だ。とても嬉しいことであり、心から期待している。そして、その期待に応え、赤根所長下のICCは、プーチン・ロシア大統領、ネタニヤフ・イスラエル首相の逮捕状を発した。

このような判断が、気に入らないからといって、ICCを解体したり、赤根所長をはじめ判事らに個人的な制裁・攻撃を加えて圧力を加えるなど、法治国家のやることではない。野蛮国のやることだ。

そして、ルビオ国務長官は、日本を含めた加盟120カ国・地域に対して、アメリカはICCから離脱するよう圧力をかけていくと明言した。クレジットカードが使えないとか、ビザが発給されないとか、米銀行を使えないとかいうことは、正直全く問題ではないと思われる。日本の首相は言わなくても、オランダの首相が全面的支援を約束してくれている。むしろ、赤根所長は、アメリカによる、他国への離脱への働きかけを恐れているかもしれない。ドキュメンタリー番組で、赤根所長が離脱しようとした国を説得し、離脱をやめさせた様子を見たことがある。離脱するのではなく、より多くの国がICCに参加し、自らも責任をもち犯罪を起こさない、また犯罪を許さないという国家運営を行うことが重要だ。そして、ICCをより強固な規範の源泉にする必要がある。

これまでも、日本政府はICCを強く支持してきた。日本は、ICCの予算の最大拠出国だという。昨日、日本政府(外務省)はICCの支持を改めて表明。非常に迅速な対応だった。とはいえ、高市首相のコメントは、極めてメッセージのないコメントだった。日本政府は、ここでアメリカの怒りを買い、関税引き上げでもされては困るとでも判断しているのだろう。情けない。

「人権外交を超党派で考える議員連盟」の中谷元議員(元防衛大臣)が、アメリカのICC判事らへの制裁措置に明確に抗議し、「戦争犯罪をなくすためにつくられたICCの否定は、世界の人権、民主主義への挑戦であり、許されない」と力強く語る姿は、非常に心強かった。

法は、どの国も、どの国際法も、決して磐石な存在ではない。しかし、この世界を少しでも人間らしく、野蛮さを拒否した世界にするために、人類は、議論を重ね、研究を重ね、試行錯誤を重ね、外交交渉を重ね、失敗を重ねながら、これまでもつことができなかった「恒常的な裁判所・国際刑事裁判所(ICC)」をつくりあげてきた。

どんな地位にある者も、主権国家も、その判断と行動には責任が伴い、決して加害の犯罪は免責されない。

ウクライナで起きていること、ガザで起きていること。世界中の人々がしっかりと目撃している。この甚大な人類への非人間的攻撃を許すわけにはいかない。

私たち人類は、戦争の歴史、軍事政権、専制政治、そういった中で、多くの兵士や市民への拷問、強制失踪、困窮、そして死と、人々の苦しみを経験してきた。人類は、それを経験し、その史実を知りながら、それでも武力という手段を放棄できないでいる。しかし、そんな世界の中で、紛争や戦争によって起こる非人道性を拒否し、加害を免責せず、処罰することを選び実現させたのだ。

人類は、それを手放してはいけない。

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