高市首相の訪米によって日本が失ったものについて、流山で考える。

国際政治

ドイツのシュタインマイヤー大統領が、ドイツ外務省「再建」75周年の会合で、大統領として「外交について批判しない」という不文律を破って、以下のように発言したという。

「国際法違反を国際法違反だと言わないドイツ外交は、信念がある外交とはいえない。」

さすが、シュタインマイヤー大統領。まさに政治家として、一人の人間として指摘しなければならないという思いで発言したのだろう。

翻って、我が国の高市首相はどうか。

今もって、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃について、法的評価ができないでいる。これは、日本という国が(最近口ぐせのように他国にも発言してきた)「法治国家」の体を成していないということだ。以前にも書いたが、法務省と外務省は、相当に恥じるべきだ。

日本国は法的判断ができないが、すでに世界各国は「国際法違反である」と判断し表明している行為について、仮に協力を求められた場合でも、日本国憲法、中でも9条によって、これに加担することを回避することができた。これは紛れもない事実である。

ヨーロッパ各国は、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃を国際法違反とし、中東における自国の基地使用を認めない中で、日本からは、日本駐留約2500人規模の米兵が中東へと派兵された。

「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ。」という高市首相の発言。自らを誉めそやし、服従する者だけを厚遇するトランプ大統領の未熟な人格に合わせ、その虚栄心をくすぐる言葉だったのだろう。

トランプ大統領については、それでもいいだろう。しかし、これを聞いた諸外国、中でもヨーロッパ諸国の首脳はどう思っただろう。ドイツ首相は?デンマーク首相は?フィンランド首相は?EU委員長は?・・・・恥ずかしい。

「奇襲のことなら日本が一番よく知っているだろう」と真珠湾攻撃について発言された時も、「あの時から4年に渡って、日本人は、苦しく泥沼の戦争へと引き摺り込まれたのだ。」とでも一言言えたら。奇襲攻撃後の現在のアメリカ・イスラエルによるイラン攻撃の膠着状態がどうなるのか、伝えることもできただろう。しかし、高市首相は顔をこわばらせるだけで、何も言えなかった。

ちなみに、ドイツのショルツ首相は、DーDAYの前日にホワイトハウスを訪問したため、トランプ大統領から「あなたにとっては、楽しい日ではないだろう」と言われ、“即座に“「ドイツにとって、ナチスの独裁から解放された日だ」と答えた。

これが、あの第二次世界大戦に向き合ってきた国と向き合えなかった国の首相の能力の「差」なのだ。歴然としている。

余談だが、ICEにより暴力的に移民排除を行うトランプ大統領に対して、ショルツ首相は、ドイツ人であったトランプ大統領の祖父の「出生証明書」をプレゼントした。戦後、アメリカでビジネスをするにあたって、トランプ一家は、北欧系として自らのドイツ人としての由来を隠してきたこともお伝えしておく。この強烈なメッセージこそ、本物の外交の所作だ。媚る者にはできない。

以前にも当ブログで書いていると思うが、私が思うに、トランプ大統領は、今年の中間選挙で一気に権力を失うだろう。またエプスタイン文書について、米議会は着々とトランプ包囲網を狭めている。ことによっては、罷免もありうるだろう。

一方で、世界はどう動いているか?

カナダは、あれだけの相剋を超えて、中国と自由貿易協定を結んだ。さすが、カーニー!EUとオーストラリアも、農業分野はさておいて(←ここが大事!)自由貿易協定を結んだ。これもすごい。何をやっているか。各国はトップが動いて、アメリカという国と市場がない世界をすでに模索ではなく「構築」しはじめている。

さて、日本はどうか?

ボケ〜っとしている。この絶望的な政権に、この後に及んで媚を売って、利を引き出そうとしている。世界の中で、孤立し、乗り遅れていることがわかっていない。こういう政治が、この国の「失われた30年」をつくってきたのだ。繰り返すが、すでに時代から、世界から、日本は乗り遅れている。

だから、今回の高市首相の渡米は、日本の外交に禍根を残した。これを評価するような「専門家」は、世界が見えておらず、この国をダメにする「おべっか専門家」だと思った方がいい。

これまでお伝えした「この国が為すべきこと」は、トランプ大統領にハグ(になっておらず、ただの抱きつきになっていた)をしなくても、その手をさすったりした下品な行動をしなくても、Xの音楽に腕を上げてノリノリで喜ばなくても、つまり、自らを人として、女性として下品な人間に貶めなくても、毅然と実現し、利を得ることはできた。

高市首相が、若かった頃、インターンをした民主党シュローダー議員が彼女に伝えという言葉。

「好かれるために全員に顔色を窺わなければならないなら、政治家を辞める。」

高市首相は、この「日本社会」でのしあがるために、この言葉の真反対の道を歩いてきたのだろう。

2023年に亡くなったというシュローダー前議員が、この高市首相のアメリカへと凱旋した姿を見なくてよかった。

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